2010/09/27

何やってても勉強


家で作業に飽きてしまったのでブログを書きます。
今日はなんとなく、僕が昔やっていた塾のアルバイトの室長とその彼の名言を紹介したいと思います。

その塾は個別指導で、都内の割と教育熱心なエリアにあり、
グループで最大規模の生徒と講師数を抱えていました。
室長はそこで異例の7年間という長期間、教室のドンとして君臨した切れ者でした。

室長はキャラクターも切れていました。

基本カバンは持たず、手ぶらにジャンプだけを持って電車で出勤。
飲み会ではビールを3秒で消すマジックだと言い、
目を開けるとワイシャツがびしょびしょのおっさんが立っていました。
ムチャクチャ金持ちでカウンターの寿司屋で信じられないぐらい高い寿司を奢ってもらった事もあります。

推定40代。頭はハゲ散らかして腹はでっぷりしていましたが
生徒も保護者も講師達もみんな室長が好きでした。


そんな室長と僕がある日体験授業を受けた小学生の生徒と保護者との面談をした時の出来事。室長は面談で
「お子さんの学年が実は一番重要な分かれ道なんですよ。どういう学校生活を送るかはここで決まっちゃうんです。」
とか、要するにウチの塾に入りなよ的な事を話していました。

僕は黙って聞いていましたが、どちらかというと周りが受験する子が多くて不安だとか
一応塾ぐらい行っといた方がいいのかなって理由で来ただけで、成績も良く受験の予定も
ないその生徒はあまり塾が必要なタイプに見えませんでした。
面談の後、室長は僕にこう言いました。

「ぼくなんか、どの学年の生徒が来たって『お子さんの学年が一番重要な学年なんですよ』って言っちゃうよ。いろいろ適当に理由付けてね。小学校3年生が来たって『今が一番・・・』って言っちゃうからね。フフ。」

といいました。
理系で頭の固い僕は最初、そうやって根拠もない事言って人騙して
なんていい加減な人なんだろうと思いました。
しかし続けて室長は

「でもそれで塾入ってきたら本当にしちゃえばいいんだよ。本当に一番大事な年にしちゃえばウソじゃないじゃん!フフ。」

といいました。
よく考えてみるとなにげに結構、深イイ話じゃないかと思ってるんですがどうでしょう?

結局塾に来る人ってのは勉強を教えてもらいたいってだけじゃなくて
色々な勉強や学校にまつわる不安を拭い去ってもらいたくて来てるようなところがあって
そういうもろもろを一回全部引き受けてあげる。そういう事なんでしょうね。

デザインにも通じるし、飲み会一つ企画するのにも通じますね。
(おれだって本当は分からんけど)絶対楽しいから飲もうよみんな!的な。
実際始まったら自分が楽しくしちゃえばいいって事ですね。

最初は根拠ないしなんだか嫌いな考え方でしたが、今ではこれが最もポジティブなスタンス
なんじゃないかと思っています。その代わり、言い出しっぺだけに責任を感じて
しまいそうですが、この言葉の深イイところはハッタリが周りにバレなければ
キッカケは確かに自分だけど実行はみんなだから責任が分散するというところです。
つまり、ハッタリ→みんなをその気にさせる→みんなで実行という事なんで
みんなが少しずつ責任を負ってくれるのです。

受験失敗しても誰も室長のこの発言を責めませんし、
飲み会がつまらなくても幹事を責める人はいません。

人を巻き込むとはまさにこういう事を言うのじゃないかなと思います。
参加型デザインとよく聞きますが、まずみんなをその気にさせるような魅力的な
人間である事や、魅力的なコンセプト、デザインができる事が基本なのでしょう。
でもきっとリーダーの心は誰も知らず、意外と孤独なんだろうなと思います。

いい加減な室長でしたが、とても楽しい人でした。
プロフェッショナルとか出てきて欲しいです。



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